安房田 智司 (アワタ サトシ)

AWATA Satoshi

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職名

准教授

研究室所在地

杉本キャンパス

取得学位 【 表示 / 非表示

  • 大阪市立大学 -  博士(理学)

研究分野 【 表示 / 非表示

生態・環境

研究概要 【 表示 / 非表示

  • 魚類の繁殖戦略について研究しています.海や湖での潜水観察や川での調査など,フィールドに出て行う研究に重きを置いていますが,水槽実験や遺伝子解析,生理実験など様々な手法を取り入れて,行動・進化生態学的研究を行っています.近年は北の海の魚であるカジカ科魚類を対象として,雄と雌の繁殖戦略に焦点を当てて研究を行っています.雄では精子に注目し,種間系統比較分析の手法を用いて,交尾行動や保護行動の有無と精子形態の多様性との関係を調べ,精子の進化過程の解明を目指しています.雌では,ホヤやカイメン専門に卵を産む(卵寄託)種に注目し,同所的に生息する卵寄託種の種間関係やカジカとホヤ・カイメンの種間関係,そして産卵管の進化について研究しています.カジカ以外でも,奄美大島に生息する絶滅危惧種リュウキュウアユについて,保全手法の提案を目指し,生態学の観点から研究を行っています.大阪市立大学では,サンゴ礁に生息するハゼとエビの相利共生関係やタンガニイカシクリッドの興味深い繁殖生態や認知についても研究を進めています.

研究キーワード 【 表示 / 非表示

カワスズメ科魚類, 寄生, 海産カジカ科魚類, 相利共生, 精子競争, 精子進化, 繁殖戦略, 行動生態学, 雌の父性操作, 魚類

所属学協会 【 表示 / 非表示

  • 日本動物学会

  • 日本動物行動学会

  • 日本水産増殖学会

  • 日本水産学会

  • 日本生態学会

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委員歴等 【 表示 / 非表示

  • 2018年01月
    -
    現在

    日本魚類学会   学会賞選考委員

  • 2017年09月
    -
    現在

    日本魚類学会   代議員

  • 2017年01月
    -
    現在

    日本生態学会   生態学会誌編集幹事

  • 2017年01月
    -
    現在

    日本動物行動学会   運営委員

  • 2015年01月
    -
    2017年09月

    日本魚類学会   庶務幹事

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受賞歴 【 表示 / 非表示

  • 平成27年度日本水産学会北海道支部大会 最優秀講演賞

    2015年12月  

  • Zoological Science Award 2013(論文賞)

    2013年10月  

  • 日本魚類学会奨励賞

    2012年09月  

  • 財団法人河川環境管理財団 河川整備基金 平成23年度優秀成果

    2011年10月  

  • 第51回日本生態学会優秀ポスター賞

    2004年08月  

現在の職務 【 表示 / 非表示

  • 大阪市立大学   理学研究科   生物地球系専攻   准教授  

職務経歴 【 表示 / 非表示

  • 2017年01月
    -
    現在

      大阪市立大学   大学院理学研究科   准教授

  • 2011年04月
    -
    2016年12月

      新潟大学   理学部附属臨海実験所   助教

  • 2009年04月
    -
    2011年03月

      水産総合研究センター中央水産研究所   内水面研究部   研究等支援職員

  • 2006年04月
    -
    2009年03月

      北海道大学   北方生物圏フィールド科学センター臼尻水産実験所   日本学術振興会特別研究員(PD)

  • 2005年04月
    -
    2006年03月

      琉球大学   理工学研究科   21世紀COE研究員

出身大学院 【 表示 / 非表示

  • 1998年04月
    -
    2005年03月

    大阪市立大学  理学研究科  生物地球系専攻  博士課程

出身学校 【 表示 / 非表示

  • 1994年04月
    -
    1998年03月

    大阪大学  理学部  生物学科

 

論文 【 表示 / 非表示

  • Host selection and ovipositor length in eight sympatric species of sculpins that deposit their eggs into tunicates or sponges

    Satoshi Awata, Haruka Sasaki, Tomohito Goto, Yasunori Koya, Hirohiko Takeshima, Aya Yamazaki, Hiroyuki Munehara

    Springer Nature Marine Biology  166 ( 5 )  2019年04月  [査読有り]

    DOI

  • If a fish can pass the mark test, what are the implications for consciousness and self-awareness testing in animals?

    Kohda M, Hotta T, Takeyama T, Awata S, Tanaka H, Asai JY, Jordan AL

    PLoS biology  17 ( 2 ) e3000021 2019年02月  [査読有り]

    DOI PubMed

  • Dynamics of Laterality in Lake Tanganyika Scale-Eaters Driven by Cross-Predation

    Hori Michio, Kohda Masanori, Awata Satoshi, Takahashi Satoshi

    SYMMETRY-BASEL  11 ( 1 )  2019年01月  [査読有り]

    DOI

  • Evolutionary transitions to cooperative societies in fishes revisited

    Tanaka Hirokazu, Frommen Joachim G., Koblmueller Stephan, Sefc Kristina M., McGee Matthew, Kohda Masanori, Awata Satoshi, Hori Michio, Taborsky Michael

    ETHOLOGY  124 ( 11 ) 777 - 789 2018年11月  [査読有り]

    DOI

  • 新潟県初記録のササキクモヒトデ(棘皮動物門,クモヒトデ綱)

    幸塚久典, 安房田智司

    ホシザキグリーン財団研究報告  ( 21 ) 269‐272 2018年03月

    J-GLOBAL

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書籍等出版物 【 表示 / 非表示

  • 魚類学の百科事典

    安房田智司 (担当: 分担執筆 )

    丸善出版  2018年10月

  • ホルモンから見た生命現象と進化 第IV巻 回遊・渡り-巡-

    矢田 崇,安房田 智司,井口 恵一朗 (担当: 分担執筆 )

    裳華房  2016年11月

  • 魚類行動生態学入門

    桑村 哲生, 安房田 智司 (担当: 共編者 )

    東海大学出版会  2013年11月

    CiNii

  • カジカ類の多様性–適応と進化−

    安房田智司,宗原弘幸 (担当: 共訳 )

    東海大学出版会  2011年12月

その他記事(Misc) 【 表示 / 非表示

  • ホヤ・カイメンと卵寄託魚の相互作用が生み出す形質の進化:宿主選択と産卵管について

    安房田 智司

    海鞘  27 2018年  [依頼有り]

  • まだまだ発掘できる佐渡―海洋動物の最新の分類・生態研究から―

    安房田智司

    うみうし通信  ( 89 ) 11 - 12 2015年12月  [依頼有り]

    J-GLOBAL

  • カジカ科魚類の繁殖戦略の多様性と進化-精子の種間比較および卵寄託と産卵管の進化について-

    安房田智司

    海洋と生物  37 ( 6 ) 605 - 612 2015年  [依頼有り]

  • 魚類の精子競争―協同繁殖する魚類を例に―

    安房田智司

    生物の科学 遺伝  60 ( 3 ) 57 - 61 2006年05月  [依頼有り]

    J-GLOBAL

  • 協同繁殖するカワスズメ科魚類は精子競争の強さに応じて精子の質や量を変えることができるのか?

    安房田智司

    日本動物行動学会News Letter  46   16 2005年  [依頼有り]

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講演・口頭発表等 【 表示 / 非表示

  • 魚類の多様な繁殖生態とその進化 ーアラスカの海からアフリカの湖までー

    安房田智司  [招待有り]

    NPO自然大学校・講座部マイスター  2018年10月 

  • 魚類行動生態学,そのおもしろさと次世代研究

    安房田智司  [招待有り]

    日本魚類学会設立50周年記念シンポジウム  2018年10月 

  • 初めて明らかとなった奄美大島産リュウキュウアユのメタ個体群構造

    武島弘彦, 小黒環, 佐久間啓, 久米元, 米沢俊彦, 西田睦, 井口恵一朗, 安房田智司

    日本魚類学会年会講演要旨  2018年10月 

  • 体外受精から体内受精へ:バイカルカジカ類における精子の進化

    伊藤岳, 木下泉, 東島昌太郎, 田原大輔, 後藤晃, SIDELEVA Valentina, 安房田智司

    日本魚類学会年会講演要旨  2018年10月 

  • ゼブラガニ雄による宿主(ラッパウニ)の操作:夏の夜,雄は雌の家まで車を走らせる

    幸田正典, 野崎龍彦, 神田橋由久, 太田和孝, 平田智法, 安房田智司

    日本動物行動学会大会発表要旨集  2018年09月 

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その他研究活動(Works) 【 表示 / 非表示

  • 静岡県伊東市でのカジカ科魚類の野外潜水調査

    フィールドワーク 

    2019年02月
     
     
  • 新潟県佐渡島でのカジカ科魚類の野外潜水調査

    フィールドワーク 

    2019年01月
     
     
  • 茨城県ひたちなか市でのカジカ科魚類の野外調査

    フィールドワーク 

    2018年12月
     
     
  • 鹿児島県奄美大島でのリュウキュウアユの野外調査

    フィールドワーク 

    2018年11月
     
     
  • 愛媛県愛南町でのダテハゼ、ネジリンボウとテッポウエビの野外潜水調査

    フィールドワーク 

    2018年09月
     
     

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科研費(文科省・学振)獲得実績 【 表示 / 非表示

  • 魚類をモデルに脊椎動物の交尾に伴う精子進化の分子基盤を探る

    研究課題/領域番号:17K19518  挑戦的研究(萌芽) 代表者

    研究期間:

    2017年06月
    -
    2020年03月
     

    分担者・その他:守田 昌哉

     概要を見る

    本研究の目的は、「交尾」や「精子競争」に伴って進化した精子や精漿の分子基盤を解明することである。そこで、近縁種に異なる繁殖生態を持つ魚類を対象に、野外潜水調査、生理学的手法、生化学的手法を用いて、精子や精漿の研究を行った。平成29年度は、(1) 5魚種の繁殖生態の調査と精子の運動性や形態の観察、(2)精子と精漿成分のプロテオーム分析を行った。
    (1)5魚種の繁殖生態の調査と精子の運動性や形態の観察:スズキ目近縁2科スズメダイグループ(非交尾種:スズメダイ:交尾種:ウミタナゴ)、トゲウオ目近縁2科(非交尾種:シワイカナゴ、チューブスナウト;交尾種:クダヤガラ)の計5種について、野外観察を行った。どの種も雄が繁殖縄張りを持ち、そこに雌が訪問して産卵または交尾をする種であったが、繁殖方法や個体群密度から、精子競争レベルは、スズメダイ、ウミタナゴ、クダヤガラで比較的高く、シワイカナゴやチューブスナウトで低いと考えられた。精子計測の結果、交尾種では体内と浸透圧が同じ等張液でのみ、非交尾種では海水のみ精子が活発に運動した。これまでのカジカ科魚類と同様に、交尾種は非交尾種に比べて、細長い頭部を持つ傾向にあった。以上のように、交尾種と非交尾種で精子の運動性や形態に明らかな違いが認められた。
    (2)精子と精漿成分のプロテオーム分析:これまでに採集した異なる繁殖様式を持つカジカ科魚類の精子および精漿サンプルを用いてプロテオーム分析を行った。二次元電気泳動の結果、精漿成分については、非交尾雄保護型と交尾雄保護型で共通する泳動パターンが見られ、そのうちの幾つかは交尾型で増加していた。一方、雌保護型や卵寄託型では全く異なる泳動パターンを示した。質量分析計を用いてこれらのタンパク質の同定を試みた結果、幾つかは免疫や金属イオンに対する防御の役割を果たすタンパク質と同定された。
    研究内容の(1)5魚種の繁殖生態の調査と精子の運動性や形態の観察については、これまでの研究の蓄積もあり、精子のデータがチューブスナウトを除いて、ほぼ揃ったと言って良い。チューブスナウトについては、アメリカ・モントレー湾で偶然1個体成熟雄の捕獲に成功した。当初の予定では、葛西臨海水族園で飼育している個体を譲り受けて、精子の計測を行う予定であったが、想定外に野外の個体から精子データを採取できたのは嬉しい誤算であった。基本的には、交尾型は等張液のみで精子が運動し、非交尾型は海水のみで精子が運動性を有するという共通の結果が得られたため、本研究により得られた精子特性は魚類に共通するものなのかもしれない。この点では大きな進展と言える。一方で、チューブスナウトの場合、等張液と海水のどちらが溶液の場合でも精子は運動性を持っていた。非交尾型のカジカ数種でも同じ結果が得られているが、理由は不明である。今後詳細に調べていく必要がある。
    研究内容の(2)精子と精漿成分のプロテオーム分析については、精漿の二次元電気泳動の結果より、交尾型と非交尾型で精漿成分が大きく異なっていることが明らかとなった。これは当初の予測通りであり、交尾行動の進化が精漿成分にまで大きく影響を与えていることを示している。しかしながら、質量分析計を用いてこれらのタンパク質の同定を試みたが、カジカ科魚類では遺伝子のデータベースが無いため、ほとんどのタンパク質が未知のものと判断された。この結果は想定の範囲内ではあったが、来年度以降、カジカ科魚類の全ゲノム解析、さらには精巣タンパクのRNAseqを行うなど、対策を立てる必要がある。
    以上より、困難さを伴い、チャレンジングなテーマではあるものの、おおむね順調に進んでいると判断される。
    平成30年度は、スズキ目近縁2科スズメダイグループ(非交尾種:クマノミ、スズメダイ;交尾種:ウミタナゴ)の中のクマノミ、スズキ目近縁2科カサゴグループ(非交尾種:キリンミノ;交尾種:カサゴ)のカサゴについて野外調査および精子の運動性や形態の観察を行う。野外調査は、愛媛県愛南町、静岡県伊豆下田市で行う。愛媛県愛南町では、クマノミの産卵期である6-8月に、カサゴについては交尾期である11-12月にスキューバを用いて採集する。平成29年度と同様に、精子の形態(鞭毛長、頭部形態、中片長)と様々な溶液(海水、卵巣腔液)での精子の運動性(精子寿命、精子の遊泳速度)を調べる。また、北米沿岸に生息しているチューブスナウトについては、これまで1個体のデータしか取れていないため、葛西臨海水族園で飼育している個体を譲り受けて、精子の計測を行う。これまで、キリンミノについては精子の運動性や形態の観察が終了しており、平成30年度で精子の形態や運動性の測定は、予定している全種を終えることができる。
    これまで、MALDI-TOF Massを使用した質量分析により、カジカ科魚類で精漿タンパク質の同定を試みたが、現在までの魚類のデータベースでは同定が困難であった。そこで、精漿タンパク質に大きな違いが認められた交尾・卵寄託型のアサヒアナハゼの全ゲノム配列を決定する。すでに個体を採集し、DNAを保存していることから、このDNAを外注に出して次世代シーケンサーで配列を決定する。また、RNAseqにより、精巣で繁殖期特異的に発現しているタンパク質(精子や精漿タンパク質)のRNA配列を決定し、BLAST解析によって配列の同定を行う。今年度はRNAseqの準備のため、カジカ科魚類の繁殖期と非繁殖期に野外採集を行い、それぞれの時期の精巣をRNA Laterで保存し、その後、そのサンプルを用いてライブラリの作成を行う。

  • 脊椎動物の陸上進出を促した精子・生殖様式の多様化機構の解明:カジカ魚類の比較から

    研究課題/領域番号:16H04841  基盤研究(B) 代表者

    研究期間:

    2016年04月
    -
    2019年03月
     

    分担者・その他:宗原 弘幸, 古屋 康則, 武島 弘彦, 柴 小菊

     概要を見る

    本年度は、海産カジカ科魚類における1. 交尾・卵寄託種の産卵場所と産卵管形態、2. 交尾および卵保護様式の進化に伴う精子の進化について研究を行った。
    1. 交尾・卵寄託種の産卵場所と産卵管形態:日本沿岸に生息する8種の卵寄託カジカ科魚類は、ホヤに産卵するために非常に長い「ホヤ用の産卵管」を持つ種と短めの「カイメン用の産卵管」を持つ種に分けられることが、一連の研究により明らかとなっている。今年度は、系統の異なる北米のカジカ科魚類やカジカ科魚類ではない種であってもホヤやカイメンに産卵することが知られている種を対象に、産卵場所と産卵管形態を調査した。まず、アメリカ・モントレー湾でホヤへの産卵が示唆されているOrthonopias triacisの産卵管を調べた結果、予想通り、ホヤ用の産卵型を有していた。また、北海道でカイメンへの産卵が報告されているイソバテング(ケムシカジカ科)とヤギウオ(トクビレ科)の産卵管を調べた結果、大型種にも関わらず短い「カイメン用の産卵管」を持っていた。今年度の研究結果より、系統的な近縁性に関係なく、利用する卵寄託場所の無脊椎動物の種類や大きさが産卵管の長さと強く関係しており、卵寄託行動や産卵管は様々な系統で独立して平行進化したことが示された。
    2. 交尾および卵保護様式の進化に伴う精子の進化:アメリカ・モントレー湾で潜水調査を行い、7種の海産カジカ科魚類の精子計測を行った。この中には、同じ属の中に交尾種と非交尾種が見られるArtedius属2種やタイドプールで繁殖するClinocottus属が含まれる。また、3種の精子データを新規に収集することができたほか、トクビレ科やアイナメ科など、外群に含まれる種の精子データも収集することができた。精子形態や運動性はこれまでの予測と完全に一致し、交尾行動や精子競争は精子の進化の原動力であることが示された。
    研究内容の1. 交尾・卵寄託種の産卵場所と産卵管形態については、アメリカ・モントレー湾の海産カジカ科魚類およびホヤやカイメンに産卵することが知られている北海道産のイソバテング(ケムシカジカ科)とヤギウオ(トクビレ科)の産卵管について調査した。これらの種の産卵管の長さや形態についてはこれまで知られておらず、本研究で初めて明らかにした。特に、卵寄託行動や産卵管が様々な系統で独立して平行進化したという仮説の検証は、大きな成果と言える。一方で、産卵に利用されるカイメンやホヤの大きさについてはデータが十分とは言えず、これは今後の課題である。
    研究内容の2. 交尾および卵保護様式の進化に伴う精子の進化については、アメリカ・モントレー湾で、海産カジカ科魚類の繁殖期に予定通りに調査を実施し、十分な精子のデータを取ることができた。特に、これまで採集されていなかったArtedius属、Clinocottus属、Icellinus属の3種について、精子のデータを初めて収集できた成果は大きい。これで予定とする42種のデータがほぼ揃ったことになる。一方で、茨城に生息するイダテンカジカやムツカジカ、北米のタイドプールに生息するOligocottus属については、未だに産卵場所が分かっておらず、今後、時期を変えて調査するなどの対策を講じる必要がある。
    「カジカ科魚類では雄保護から雌保護もしくは卵寄託へと進化すると精子競争が激化する」という仮説を検証するための親子判定の研究については、やや遅れている。また、ミトコンドリアゲノム16kbのシーケンスによる系統解析もやや遅れている。必要なDNAサンプルは今年度でほぼ揃ったため、順次解析を進めていく。
    以上より、進行の遅れているテーマはあるものの、おおむね順調に進んでいると判断される。
    本年度は大きく3つの研究を行う。
    1. 分子系統樹の作成:これまでに収集したDNAコレクションと、2016年と2017年に得られた種を加えた約100種のミトコンドリアゲノム配列(16kbp)を決定する。これまでの国内外の調査で精子の進化に重要なカジカ科魚類のDNAはほぼ採取できており、カジカ科魚類の正確な分子系統樹の作成により、交尾の進化プロセスや精子進化の解明につながる。
    2. 一卵塊当たりの父親数の推定:行動観察より導かれた仮説である「海産カジカ科魚類では、雄保護から雌保護もしくは卵寄託へと進化すると精子競争が激化する。」を検証するために、採集した卵塊のDNA分析により、一卵塊に関係する雄の数を推定する。昨年度までに、非交尾・雄保護種であるヒメフタスジカジカ、ウスジリカジカ、交尾・雄保護種であるオニカジカ、ラウスカジカ、交尾・卵寄託種であるアサヒアナハゼ、スイの卵塊と親種を収集できている。これまでに開発されたマイクロサテライトマーカーを用いて、一卵塊に関係する父親数を明らかにする。
    3. 系統種間比較解析:昨年度の調査までに、生態・精子・交尾器のすべてのデータが揃った種は37種となった。これらに加えて、6種を現在、調査および解析中である。また、ホヤやカイメンに産卵する産卵管についても計13種からデータが得られた。今年度、卵塊の父親数推定によって、異なる繁殖様式間での精子競争レベルの違いを明らかにできる。目標とする42種がほぼ揃ったので、これらのデータと今年度作成するカジカ科魚類約100種の分子系統樹を使って、最新の系統種間比較法で解析を行う。最終的に、交尾と卵保護様式の進化に伴う精子、交尾器および産卵管の多様化機構を解明し、本申請の目的を達成する。得られた成果は、論文として取りまとめ、速やかな公表に努める。

  • 亜寒帯バイカル湖のカジカ類の湖底1600mまでの適応放散を分子・生活史から探る

    研究課題/領域番号:15H05235  基盤研究(B) 分担者・その他

    研究期間:

    2015年04月
    -
    2019年03月
     

    分担者・その他:田原 大輔, 岩田 明久, 馬渕 浩司, 安房田 智司, 酒井 治己

     概要を見る

    2017度では,昨年度に引続き,結氷直前のバイカル湖央盆において,遺伝分子情報の今だ僅少な種類の採取,遊泳性カジカのコメフォルスとコットコメフォルスの初期生態,特に耳石日周性およびこれら2属の繁殖生態をより詳細に明らかにした.
    半遊泳性のコットコメフォルス属仔魚の日齢解明に扁平石と星状石の断面を露出させるため研磨した結果,耳石の中心部と周辺部では,輪紋のコントラストや太さに明瞭な差が確認された.よって,浮遊生活期を送る本属では,変態輪や着底輪である可能性が示唆された.
    バイカルカジカの起源は無鰾で底生性の淡水カジカ科とされるが,それらは体外受精で,雄の卵保護と共通の特徴を持つ.バイカルカジカはこの湖で適応放散したことで,同科中に体外と体内受精種(胎生種)を有し極めて珍しい.今回,このタイプの胎生種である深湖性のコメフォルスを用いて,交尾や胎生の進化に伴う繁殖生態や精子の多様化機構をみた.桁網と稚魚ネットにより,本属魚類を活かして採取し,成熟雄について世界で初めて精子形態や遊泳速度の計測に成功した.精子は湖の水では不活性で,体内と同等張液中で活性であったことから,体内環境に適応進化していることが示された.一方,精子全長は海産カジカ類の交尾・雄保護種と同程度で,丸型の頭部はむしろ体外受精種に近かった.しかし,雄は小さく鉤状で本属特有の交尾器を有し,本属の繁殖行動を窺うことができた.
    今回,これまで希少であった深所性のAbyssocottus korotnefii, A. plathycephalus, Asprocottus abyssalis, Limnocottus griseus, L. ipallidusの各成魚と L. bergianusの稚魚を少なからず桁網によって水深300-500 mの湖底から採集でき,今後の類縁関係ならびに遺伝分子研究に大いに貢献できる.
    露国特有の制度で,サンプルの持出し許可が一向に下りず,サンプルの処理・同定現地で行わざるを得ず,そのため,それらの解析がどうしても遅延してしまう状況である.
    現地で運用しているバイカル博物館所属のRVテレシコフのウインチとワイヤーがかなり老朽化しており,我々の希望する水深帯のサンプルの供給が困難な状況である,2018年度では,RVのエンジンも含めてそれらの改修を期待している.
    コットコメフォルス類耳石の研磨を試みたが,他のカジカ類よりも脆く,研磨の途中で破損する事例が多発した.今後は,包埋樹脂の変更や,研磨方法の改良などを行って,バイカルカジカ類の耳石輪紋観察法を早急に確立する必要がある.
    2018年度は,沿岸域に生息する体外受精種の数種について,産卵場所や卵保護形態などを明らかにするために潜水調査を実施する.また,これらの体外受精種の卵保護オスを採集して,精子形態や運動性などの精子特性を測定する.また,2017年度と同様に,沖合で胎生種の採集を行い,精子の形態や運動性を調べる.胎生の場合,雌の体内に子がいる可能性もあるが,これまでほとんど観察されたことがない.そこで,採集から分かる繁殖生態情報も収集する.最後に,繁殖生態および精子の形態や運動性を体外受精種と胎生種で比較し,バイカルカジカにおける繁殖生態や精子の進化プロセスを明らかにしていく.
    コメフォルス属およびコットコメフォルス属の個体発生は属レベルでは明らかにできている.2018年度では,種レベルでの識別を遺伝分子情報と相補的に絡めて確率する.さらに,種分化および適応放散に関する研究の材料として,今だ僅少もしくは皆無の魚種の採取を湖央盆域において挑みたい.

  • 危機的状況にあるリュウキュウアユの存続に向けたメタ個体群構造の解明

    研究課題/領域番号:15K07538  基盤研究(C) 分担者・その他

    研究期間:

    2015年04月
    -
    2018年03月
     

    分担者・その他:安房田 智司, 井口 恵一朗

     概要を見る

    淡水生態系の絶滅危惧種「リュウキュウアユ」は,その自然個体群を奄美大島のみに残す.本研究は,リュウキュウアユの具体的な保全策・存続手法の提案のために不可欠な,メタ個体群構造の実態解明を(1)生態調査と(2)遺伝分析,2つのアプローチから追求するものである.
    プロジェクトの最終年である本年度は,生態データの解析,DNA実験の追加・データ解析,成果の公表等を進めた.
    (1)については,奄美大島の各河川における,1992年以降の在・不在や個体数データ,河川生息環境データを解析した.解析結果から,メタ個体群のソースとシンク河川のうち,一定の流量がない小規模河川はシンクとなり,ある程度流量があったとしても,ソース河川からの距離が離れるほど,個体群の維持が難しいことが分かった.
    (2)については,1992-2017年に採集した1235個体について,38のマイクロサテライトDNAマーカーによる大規模なDNA分析を行った.DNA分析の結果から,閉鎖的な湾に産卵河川1本と複数の小河川が注ぐ奄美西部は,遺伝的に単一のメタ個体群だった.一方,奄美東部の大小11河川では,「住用湾の複数河川は遺伝的に均一のメタ個体群構造」を持つものの,「住用湾からやや南に位置する河川は,遺伝的に異なる」特徴を持つことが分かった.この河川では,ほぼ毎年小規模の産卵が見られるが,住用湾内の主要産卵河川から遺伝子流動の影響を過去も現在も受けながら,独自の遺伝子頻度を維持していることが考えられた.この十数年の間にその河川の個体群は少なくとも一度は絶滅しており,住用湾内の河川からの移入個体により回復したことも示唆された.
    以上のことから,リュウキュウアユを効果的に保全するには,特定の河川ではなく,メタ個体群全体について保全策を講じる必要性が示された.特にシンク河川では,産卵環境の改善と河口閉塞対策など移入経路の確保が求められる.

  • 親潮流路にある島嶼生物の側所的進化と適応放散-極東域生物相形成史の解明を目指して

    研究課題/領域番号:25304011  基盤研究(B) 分担者・その他

    研究期間:

    2013年04月
    -
    2016年03月
     

    分担者・その他:矢部 衛, 古屋 康則, 安房田 智司, 阿部 拓三

     概要を見る

    カムチャッツカ半島、ウナラスカ、バンクーバー島でスクーバ潜水による標本採集調査を行った。また北大練習船による北極海での採集調査も行った。標本を同定するともに、分子系統解析および不凍タンパク質の発現状況を調べた。その結果、約50種400個体のカジカ類、ダンゴウオ類、アイナメ類を採集し、大学に保管していた標本と合わせカジカ上科6科47属92種の分子系統解析を行った。沖合から沿岸への独立した進化、東西北太平洋に分断分布する種の別種相当の遺伝的距離、垂直分布制約の回避による大規模系統回遊などの仮説提案ができた。この仮説と不凍タンパク質の解析からカジカ類の寒冷地への侵入過程の一端を解明できた。

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その他資金獲得実績 【 表示 / 非表示

  • ヒトを含む脊椎動物の社会認知とこころの進化:魚類や小型ほ乳類の認知機構の解明から

    制度名:  戦略的研究重点研究 (学内研究費)  分担者・その他

    研究期間:

    2018年04月
    -
    2020年03月

  • 調査研究費

    制度名:  日本学術振興会外国人特別研究員(サマー・プログラム) (共同研究)  分担者・その他

    研究期間:

    2017年04月
    -
    2017年08月

  • 北太平洋沿岸で適応放散した海産カジカ科魚類における精子の多様化の進化機構

    制度名:  新潟大学科学研究費助成事業応募支援 (学内研究費)  代表者

    研究期間:

    2015年07月
    -
    2016年03月

  • カジカ科魚類の交尾の進化に伴う精子構造の進化:微細構造観察とプロテオミクス分析

    制度名:  JAMBIO 共同利用・共同研究 (共同研究)  代表者

    研究期間:

    2015年04月
    -
    2016年03月

  • 魚類をモデルにして脊椎動物の交尾に伴う精子進化の分子基盤を探る:微細構造観察とプロテオミクス分析

    制度名:  内田エネルギー科学振興財団・試験研究費助成金 (研究助成)  代表者

    研究期間:

    2015年04月
    -
    2016年03月

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担当授業科目(学内) 【 表示 / 非表示

  • 生物学実験B

    (2018年度)大学 共通(教育)科目

  • 生物学概論A

    (2018年度)大学 共通(教育)科目

  • 専門生物学実験B

    (2018年度)大学 専門科目

  • 社会生態学特論II

    (2018年度)大学院 専門科目

  • 特別研究(生物)

    (2018年度)大学 専門科目

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その他教育活動 【 表示 / 非表示

  • 国際化への貢献

    (2018年度)

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    コンゴ民主共和国の大学院生の副指導を行うとともに、実際に現地で共同調査を行った。

  • 教育方法の改善

    (2018年度)

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    毎回学生の意見を聞き、その都度講義の改善を行った。

  • 国際化への貢献

    (2017年度)

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    サンフランシスコ州立大学の学生をサマープログラムで受け入れた。

  • 教育方法の改善

    (2017年度)

     概要を見る

    分かりやすい講義になるよう心がけた。

 

社会貢献活動 【 表示 / 非表示

  • 滝畑ダムのアユ

    役割:助言・指導

     対象:高校生, 教育関係者 

    2018年10月
     
     

    主催者・発行元: 大阪府立富田林高等学校  大阪府立富田林高等学校SSH重点枠事業 

  • 大阪府生徒研究発表会~大阪サイエンスデイ~第1部

    役割:助言・指導

     対象:高校生 

    2018年10月
     
     

    主催者・発行元: 大阪府立天王寺高等学校  大阪府立天王寺高等学校SSH重点枠事業 

  • 講座部マイスター

    役割:講師

     対象:市民団体 

    2018年10月
     
     

    主催者・発行元: NPO法人自然大学校  魚類の多様な繁殖生態とその進化 ーアラスカの海からアフリカの湖までー 

  • 卵預ける魚の不思議 他の生き物を”託児所”に

    役割:インタビュイー, 取材協力, 情報提供

     対象:社会人・一般 

    2018年01月
     
     

    主催者・発行元: 日本共産党  しんぶん赤旗 

 

外国人受入実績 【 表示 / 非表示

  • 外国人受入年度:2018年度

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    外国人研究者受入数
    0名
    外国人留学生受入数
    1名

    Democratic Republic of the Congo

  • 外国人受入年度:2017年度

     詳細を見る

    外国人研究者受入数
    1名
    外国人留学生受入数
    1名

    United States of America, Democratic Republic of the Congo